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bessyo

Acoustic Guitar Live

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Acoustic Guitar Live
別所神社‐宿の日コンサート (全13 曲)

 

1.  AFTER 
2. 千日紅ひと夏の夢
3. Rianon
4. ふるさと
5. 光と風の道
6. 月の雫
7. 埴生の宿
8. 心の中のひと
9.  哀しみの果てに
10. 寝 顔
11. 迷宮の丘
12. ジェラシー

 

Acoustic Guitar  :  馬島 昇
Keyboard&Piano : 久保田 修

   - 2018 -

   Mix&Mastering Studio : Cross Current Studio

   Mixed and Masutered by Noboru Mashima

別所神社「宿の日コンサート」を収録('03


12回目を迎えるというこのコンサートは、神社が舞台というだけあって今までは邦楽が中心だったらしい。因みに前年は津軽三味線だったという。そしてこの年の出演が急遽私に決まった。

 

コンサート当日は荘厳な雰囲気の中、静かな昂揚感があった。リハーサルの途中激しい夕立がありリハは一時中断する。

つい先ほどまでのけたたましい蝉時雨は、いつのまにか雨音に変わっていた。なかなか降り止まない雨にスタッフ陣は気を揉んでいる。午後6時の時点で雨が止まなければコンサート中止-との判断が既に主催者側から下されていた。野外コンサートの宿命である。激しく降り続く雨の中ただ止むことを信じて、この日ステージサイドでチューニングを担当してくれるSUMI工房の山根君と一緒に弦の張替えを始めた。
 

やがて雨は小降りになり、そして完全に止んだ。

どこかに隠れていた蝉たちが、再びけたたましく鳴き始めた。風は・・・今度は我々に向かって吹き始めたようだ。

15分押しで、いよいよコンサートの火蓋が切られた。

かがり火の炎が勢いよく燃え上がる。やがてその煙はステージの照明と溶け合いスモークの役目を果たし始めた。

3曲を弾き終えると、いつのまにか会場内は-静寂な夜の海-のように静まり返っていた。そして中盤の「心の中のひと」あたりから、会場の密度がぐっと凝縮されてくるのを感じた。「哀しみの果てに」そして新曲の「寝顔」と3曲続けて弾き終えた頃には、会場全体がある種のオーラに包まれているような感覚に陥った。

「今日は何かが降りてきています」と私はステージで冗談交じりに話していたのだが、実はこの時けっこう真面目に言っていたのである。波動の高い何か目に見えない存在が、暖かく会場を見守ってくれているような気がした。気が付くと私はいつになく寡黙になり、次々とギターを持ち替えながら完全に一人の世界に没頭していた。もはや言葉など必要ないのだろう。そのことは客席の表情からもうかがい知ることができた。

        

コンサート終了後、楽器の片つけをしていると、一人の中学生の少女が握手を求めてきた。翌年高校に入ったらギターを始めたいという。合格したら教える約束をして私たちは別れた。


2003年夏…私の長い一日は終わった。 

 

       ‐別所神社コンサート 月の雫‐   

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